実は怖い 歯ぎしりの話
歯ぎしり基礎知識
歯ぎしりの種類とは
あまり知られていませんが、じつは歯ぎしりには3つのタイプが存在します。
・グラインディング:最も一般的な歯ぎしり。上下の歯を左右にこすり合わせて、ギリギリとした音を立てるもの。
・クレンチング:「食いしばり」「かみしめ」とも呼ばれるタイプの歯ぎしり。上下の歯をぎゅっと力を入れて強くかみこむため、音が立ちにくく周囲の人にも気づかれにくい。
・タッピング:上下の歯をカチカチとぶつけあうタイプの歯ぎしり。3つの中では一番発生が少ない。
3つが独立している場合だけでなく、2つ3つと重なって起こっている場合もあります。
歯ぎしりをするとどうなるの?
子どもの歯ぎしりの場合は、ほとんど問題ありません。発育の一貫としてストレスを歯ぎしりで発散している場合ありますし、たとえ歯ぎしりをしていてもまだ乳歯のためそれほど大きな影響がないからです。ですが、大人になってからはそうはいきません。大人の歯ぎしりの場合、
・歯が削れる・割れる
・頭痛や肩こりの原因となる
・歯周病が進行しやすくなる
・顎関節症を引き起こす
といった問題を引き起こすこともあります。放っておいたら意外とこわい歯ぎしり、早期発見と対策を心がけたいものです。同居している恋人や家族がいる場合は、隣で寝ている相手の迷惑になってしまうこともあります。自分のためにも相手のためにも、なるべく早く治療しましょう。
歯ぎしりセルフチェック
しかし、歯ぎしりは自分ではなかなか気づきにくいものです。人に教えられない限りは自覚しにくいけれど、恋人や友人に指摘されるのもなんだか恥ずかしいですよね。そこで、自分が歯ぎしりをしているか以下の項目でチェックしてみましょう。
・起床時に口の周りに違和感がある(あごが疲れていたりだるいなど)
・歯にヒビが入っていたり、欠けていたりする
・口を閉じた状態のときに、上下の奥歯がくっついている
・仕事や運転中など、何か集中しているときに無意識に歯を食いしばっている
・舌や口の中にかんだ歯型がついている
・肩こりや頭痛がひどい
・冷たいものを口に入れるとしみる
これらのうち、どれかひとつでも当てはまった場合は歯ぎしりをしている可能性があります。いくつも当てはまってしまった人は要注意!
歯ぎしりの原因と対策
歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因には、
・ストレス
・噛み合わせ
・顎関節症
などがあげられます。歯ぎしりと顎関節症の関係については、歯ぎしりが顎関節症を引き起こす場合もあれば、その逆もあるのだそうです。
歯ぎしり対策1:ストレスの場合
歯ぎしりを引き起こす最大の原因は「ストレス」といわれています。しかしながら、ストレスが原因の場合、ストレスの大元の部分を解消しない限り、歯ぎしりを治すことも難しいのではないでしょうか。
「精神の緊張が大きくなると交感神経が優位に働き、体も屈曲位になります。ふさぎこんでいる人は、背中を丸めたような姿勢を取っている人が多いですよね。逆に、精神がリラックスすると体もゆるんだ姿勢になります。これは鶏と卵の関係で、体が先か精神が先かということはなく、お互いに影響しあっているのです。なので、パニック障害や鬱などで精神がつらい人は、体がリラックスしている状況を意図的に作り出してあげることで、ストレスの悪循環をたち切ることができます」
ストレスの根本解決は難しいかもしれませんが、精神が悪い状況へ陥るループを阻止するための努力はできるということです。これは歯ぎしりに悩んでいる人のみならず、誰しもが日々のストレス対処法として応用できるのではないでしょうか。気分がふさぎこんで背中が丸まっているときには、大きく伸びをしてリラックスしたり、背筋をシャンとして姿勢をよくするように心がけましょう。
歯ぎしり対策2:軽度の顎関節症の場合
顎関節症が原因で歯ぎしりをしている場合には、アゴをゆるめて緊張を解くエクササイズは5分程度でお手軽にできるので、仕事の合間やふとした時にもぴったりです。
歯ぎしり対策3:噛み合わせなどで通院する場合
しかしながら、自力でどうにもならなかった場合や噛み合わせが悪い場合は、病院に行って治療するほかありません。歯ぎしり治療としてもっとも一般的なのは、歯科医院でのマウスピース治療ではないでしょうか。マウスピースは保険適用の場合およそ5,000円程度で作ることができます。ですが、マウスピースは食いしばりによって歯が傷つくことを防ぐことができても、歯ぎしりの原因を取り去ることはできません。また、顎関節症が原因の場合、本来とは異なる顎位(がくい)でマウスピースの歯型を取ってしまうと、逆に症状が悪化してしまう可能性もあります。マウスピース治療を開始してから具合が悪くなった場合は顎関節症の恐れがあるので、一度専門の病院を受診しましょう。体のゆがみや顎関節症が原因の歯ぎしりであれば、鍼灸での治療も効果的です。
歯ぎしりには早期発見で適切な治療を
たとえ歯ぎしりに自覚症状があったとしても、「大きな痛みもないし病院に行くほどでは…」と通院を躊躇している人も多いのではないでしょうか。しかし、自力で改善が見込めない場合は、なるべく早く専門の病院にかかるようにしましょう。ストレスで凝り固まっている方はまずは体からリラックスさせて、心が前向きな気持ちになれるような土台を作ってみてください。
口の中の検診は非常に重要です。歯医者さんとお話していると歯や歯茎、舌の状態で病気の前兆を見つけることも良くあるそうです。歯科と鍼灸治療も非常に愛称の良い治療法なんですよ。