風邪って何?原因から症状、正しい対処法まで専門家がやさしく解説します
インフルエンザ ものすごく流行っていますよね。
インフルエンザに感染してキャンセルした患者さんとの会話で見つけた記事です。
風邪って何?原因から症状、正しい対処法まで専門家がやさしく解説します
1. はじめに:誰もが経験する「風邪」の正体
「風邪」は、おそらく私たちが生涯で最も多く経験する病気でしょう。誰もが知っている身近な病気だからこそ、その正体や正しい対処法について、意外と知らないことがあるかもしれません。
この記事では、感染症や公衆衛生の専門家の視点から、「風邪(普通感冒)」の基本的な知識、症状の経過、ご家庭でできるセルフケア、そして効果的な予防策について、一般の方にも分かりやすく解説します。
2. 「風邪(普通感冒)」とは?
風邪とは、鼻、副鼻腔、喉、気管といった「上気道」に起こる、ウイルスによる軽度の感染症です。まずは、その基本的な特徴を理解しましょう。
• 原因はウイルス: 風邪は200種類以上のウイルスによって引き起こされます。その中でも最も一般的な原因ウイルスは「ライノウイルス」で、風邪全体の30~50%を占めると言われています。ライノウイルスが主な原因ですが、その他にもコロナウイルス(10-15%)、インフルエンザウイルス(5-15%)、RSV(5%)など、多くのウイルスが風邪の症状を引き起こします。
• なぜ「ありふれた」病気なのか: 風邪は非常に蔓延しており、大人は年に2~3回、幼児は年に4回以上かかることも珍しくありません。これほど頻繁にかかるため、「ありふれた」病気と呼ばれています。
• 抗生物質は効かない: 風邪の原因はウイルスです。細菌感染症に効果のある抗生物質は、ウイルスには全く効果がありません。ウイルスには全く効果がないだけでなく、不必要な服用は薬剤耐性菌の発生につながるため、自己判断での使用は絶対に避けるべきです。
3. 風邪はどのようにうつるのか?
風邪のウイルスは、主に以下の3つの経路で人から人へとうつります。
• 飛沫感染: 風邪をひいている人の咳やくしゃみによって、ウイルスを含む小さな飛沫が空気中に飛び散り、それを近くにいる人が吸い込むことで感染します。
• 接触感染(手から): 風邪をひいている人と握手するなど、直接手で接触することでウイルスが手に付着し、その手で目、鼻、口の粘膜に触れることで感染します。
• 接触感染(物を介して): ウイルスが付着した食器、タオル、おもちゃ、ドアノブなどを触った手で、自分の目、鼻、口の粘膜に触れることで、ウイルスが体内に侵入し感染します。
ウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、通常12時間から3日間です。
4. 風邪の症状と経過:段階を追って見てみよう
風邪の症状は、インフルエンザのように急に現れるのではなく、徐々に進行するのが特徴です。風邪の全経過は通常7~10日ほどで、一般的に以下のような3つのステージをたどります。
• 初期(1~3日目):
・ 最初に現れる症状として、喉のいがらっぽさや痛みが多くみられます。その後、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、声のかすれなどが続きます。
• 活動期(4~7日目):
・ 症状がピークに達する時期です。初期の症状に加えて、体の痛み、頭痛、涙目、疲労感、発熱(特に子供に多い)などが起こることがあります。
• 後期(8~10日目):
・症状が徐々に治まってくる回復期です。ほとんどの症状はこの時期に改善しますが、一部の人では咳だけが長引き、場合によっては2ヶ月ほど続くこともあります。
・ 注意点: 鼻水の色が透明から黄色や緑色に変わることがあります。これはウイルスと戦った白血球などの免疫細胞の残骸が含まれるためで、体の正常な防御反応の証です。必ずしも細菌感染を意味するわけではありません。
5. 自宅でできるセルフケア:症状を和らげる方法
風邪には特効薬はなく、自分の免疫力でウイルスを排除し、自然に治るのを待つのが基本です。つらい症状を和らげ、回復を早めるために、ご家庭でできるセルフケアをご紹介します。
やるべきこと
• 十分な休息をとる
• 脱水を防ぐために、水やお茶などの水分をたくさん飲む
• 栄養バランスのとれた健康的な食事を心がける(小さなお子様は数日間食欲が落ちることがありますが、一般的です)
• 喉の痛みを和らげるために、塩水でうがいをする(子供には適していません)
• 喉の痛みを和らげるために、温かいレモンとはちみつのドリンクを飲む
• 鼻づまりを和らげるために、蒸気を吸い込む(温かいシャワーを浴びている浴室に座るなど)
やってはいけないこと
• やけどの危険があるため、子供に熱湯の入ったボウルから蒸気を吸わせないでください。
• 16歳未満の子供にアスピリンを与えないでください(ライ症候群という重篤な副作用のリスクがあります)。
• 症状を悪化させる可能性があるため、喫煙は控えましょう。
6. 病院へ行くべきタイミングは?
ほとんどの風邪は自宅でのセルフケアで回復しますが、合併症のサインを見逃さないことも重要です。以下のような症状が見られる場合は、医療機関の受診を検討してください。
大人の場合
• 症状が悪化する、または改善しない
• 38.5度以上の熱が3日以上続く
• 一度下がった熱が再び上がる
• 息切れや胸の痛みがある
• 症状が10日経っても改善しない
• 咳が3週間以上続く
子供の場合
• 生後12週までの新生児で38度以上の熱がある
• 高熱、または2日以上熱が続く
• 頭痛、喉の痛み、咳などの症状がひどい
• 呼吸が苦しそう、またはゼーゼーしている
• 耳の痛みを訴える
• いつもと違ってぐったりしている、または不機嫌
• 食事や水分をあまりとらない
7. 風邪の予防:うつらない、うつさないために
風邪の感染リスクを減らすためには、日頃からの基本的な対策が最も効果的です。これらの対策はどれも重要ですが、特に基本となるのが、石鹸と水による頻繁な手洗いです。
• 石鹸と温水で頻繁に手を洗う。
• 洗っていない手で目、鼻、口を触らないようにする。
• ドアノブや電気のスイッチなど、頻繁に触れる場所を清潔に保つ。
• 咳やくしゃみをするときはティッシュで口と鼻を覆い、使用済みのティッシュはすぐにゴミ箱に捨てる。
• 風邪をひいている人との濃厚な接触を避ける。
• 十分な睡眠、健康的な食事、適度な運動で免疫力を高める。
• 体調が悪いときは、他の人にうつさないように家で休む。
8. まとめ
風邪は通常、深刻な病気ではなく、7~10日ほどで自然に治るウイルス性の感染症です。治療の基本は特効薬に頼ることではなく、十分な休息と水分補給によって体の免疫力がウイルスを撃退するのを助けることです。
ほとんどの場合は自宅で対処できますが、症状が長引いたり悪化したりするなど、この記事で紹介した「病院へ行くべきタイミング」を知っておくことが、合併症を防ぎ、安心して回復するために重要です。日頃からの予防を心がけ、健康な毎日を送りましょう。
寒くなってきています 注意ですね








