なぜ「水分不足」だと自律神経が乱れやすくなる?内科医に聞いた“意外な関係性”
だるい 眠い…という患者さんとの会話で見つけた記事です。
何故「水分不足」だと自律神経が乱れやすくなる?内科医に聞いた“意外な関係性”
最近、だるさや頭痛、立ちくらみが増えていませんか。その不調には、水分不足が関係している可能性があります。体内の水分量が変化すると、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスに影響を及ぼすことがあるのです。
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なぜ「水分不足」が自律神経のバランスに影響するの?
「水分不足は体に良くない」と知っていても、自律神経とどう関係するのか、イメージしにくいかもしれません。ここでは、体の中で起こり得る変化の仕組みを見ていきましょう。
循環器系への負担が、交感神経を優位にさせることがある
私たちの体の約60%は水分でできており、その多くは血液の成分としても循環しています。
体内の水分が不足すると、血液の液体成分である「血漿(けっしょう)」の量が減少します。その結果、血液の粘度が高まり、心臓をはじめとする循環器系への負担が増すことがあります。
心臓は、粘度が高まった血液を全身に巡らせるため、より力強く拍動する必要が出てきます。このような体の「頑張る」モードのとき、自律神経のアクセル役である「交感神経」が優位になりやすいのです。
この自律神経のバランス状態を知るための一つの指標に「HRV(心拍変動)」があります。
HRV(心拍変動)とは?
心臓の拍動間隔は常に一定ではなく、呼吸などに合わせて微妙にゆらいでいます。この「ゆらぎ」が大きい状態(HRVが高い)は、心身がリラックスし、環境変化に適応しやすいサインとされます。
逆に、ストレスや疲労、睡眠不足、そして水分不足といった要因によって交感神経が優位になると、このゆらぎが小さくなる傾向(HRVが低い)があります。
HRVで水分状態は判断できる?
HRVは自律神経のバランスを総合的に反映する指標であり、水分不足以外にも、精神的ストレス、睡眠の質、運動、食事など、非常に多くの要因で変動します。 そのため、「HRVが低いから水分不足だ」と断定することはできません。
あくまで体全体のコンディションを知るための一つの参考情報と捉えましょう。
原因が分からない「謎の体調不良」。それは自律神経の乱れによるものかもしれません。自律神経を整える簡単な方法のひとつとして「水を飲むこと」があります。
しかし、なぜ水を飲むだけで本当に自律神経が整うのでしょうか。
水が自律神経に与える影響とは
自律神経は、私たちの体内の機能を無意識にコントロールする重要な役割を果たしています。この自律神経に、水分補給はどのように影響するのでしょうか。
血流促進により自律神経のバランスを整える
水を飲むことで血液の粘度が下がり、血流が良くなると、交感神経と副交感神経のバランスが保たれやすくなります。
脱水による交感神経の過剰刺激を防ぐ
体内が脱水状態になると、交感神経が優位になりやすくなり、ストレスや緊張感を感じやすくなります。こまめな水分補給はその予防になります。
リラックス効果により自律神経のバランスを整える
温かい水や白湯を飲むことで副交感神経が活性化し、リラックス効果を得られると考えられています。
もちろん水を飲む「だけ」で自律神経がすぐに整うわけではありませんが、適切な水分補給は、自律神経のバランスを維持するために欠かせません。
自律神経を整える水の飲み方
ただ水を飲むだけではなく、飲むタイミングや量を工夫することで、自律神経への良い効果を最大限に引き出すことができます。具体的なポイントを見てみましょう。
朝一番にコップ1杯の水を飲む
睡眠中の脱水状態を解消し、交感神経を刺激して体を目覚めさせます。
1日を通してこまめに水を飲む
一度に大量に飲むよりも、少量を何回にも分けることで胃腸に負担をかけません。ストレスを感じたときや疲れたときに意識的に水を飲むことで、自律神経の働きをサポートできます。
常温やぬるま湯にする
冷たい水は交感神経を刺激しやすいので、常温やぬるま湯を飲むのがおすすめです。
「何か食べると自律神経が整う」気がする…なぜ?自律神経を整える食べ物・飲み物
どれくらいの量を飲めばいい?
1日の目安は1.5〜2リットルですが、体格や活動量、気温などに応じて調整してください。1回200ml程度を目安に数回に分けて摂取するのが理想的です。
水以外で自律神経のバランスを整える飲み物は?
ほかにも、自律神経のバランスを整える効果が期待できる飲み物として、以下が注目されています。
緑茶
緑茶に含まれるアミノ酸「テアニン」には、リラックス効果があり、副交感神経を活性化させる作用が報告されています。
カモミールティーにはリラックス効果があり、不安感の軽減や睡眠の質向上に役立つことが示されています。これにより自律神経の安定が期待されます。
ジャスミン茶
ジャスミン茶の香りにはリラックス効果があり、自律神経活動に影響を与えることが示唆されています。伊藤園と伏木亨教授の共同研究で、ジャスミン茶の香りがが副交感神経系の活動を高めるという結果も出ています。








