「寝ても疲れが取れない」のは、病気のサインかも? 慢性疲労に潜む5つの疾患を医師が解説
寝ても寝ても疲れがとれないという患者さんとの会話で見つけた記事です。
「寝ても疲れが取れない」のは、病気のサインかも? 慢性疲労に潜む5つの疾患を医師が解説
「しっかり寝たのに朝から体が重い」「週末休んでも疲れが抜けない」……慢性的な疲労感は、病気のサインかもしれません。甲状腺機能低下症、軽度うつ、糖尿病など、見逃しやすい疾患とセルフチェック法、早期対処の重要性を、分かりやすく解説します。
「たっぷり寝たのに朝から体が重い」「週末に休んでも回復しない」──そんな“慢性的な疲れ”を感じていませんか?
パーソナルドクターとしてビジネスパーソンの健康管理に携わる中で、「疲れが取れない」というのは非常に多く寄せられる相談のひとつです。原因は生活習慣だけとは限らず、見逃されがちな“隠れた病気”のサインのこともあります。
慢性疲労の裏に潜む疾患とその見分け方、そして早期対処のポイントを医師の視点で解説します。見逃されやすい症状を知り、重症化前に気付くヒントにしてください。
慢性疲労に潜む“5つの病気”の特徴は? 今すぐできるセルフチェックのポイント
疲れが取れない状態が数週間以上続いている場合、すぐに対処すべき疾患が隠れている可能性もあります。今すぐセルフチェックで、当てはまるものがないかを見てみましょう。
1. 甲状腺機能低下症
代謝をコントロールする甲状腺ホルモンが不足することで、全身の機能が低下します。だるさ、むくみ、寒がり、便秘、無気力などがじわじわ現れるのが特徴です。顔やまぶたのむくみ、声のかすれにも注意してください
■セルフチェックのポイント
・以前より寒がりになった
・朝起きても顔やまぶたがむくんでいる
・最近、便秘がち
・声がかすれたり低くなったように感じる
2. 鉄欠乏性貧血
特に月経のある女性に多く、鉄分が不足することで血液の酸素運搬能力が低下します。集中力低下、息切れ、動悸、爪が反る「スプーン爪」も典型的なサインです。
■セルフチェックのポイント
・立ちくらみや息切れがある
・階段で息切れしやすくなった
・爪が薄く割れやすい
・顔色が悪いと言われる
3. 睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に一時的に呼吸が止まり、熟睡できなくなる病気です。日中の強い眠気や集中力低下、朝の頭痛、いびきなどのサインを伴います。肥満体型や首周りに脂肪がつきやすい人は特に注意が必要です。
■セルフチェックのポイント
・日中、強い眠気に襲われる
・起床時に頭痛がある
・「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と言われたことがある
・肥満傾向または首周りが太い
4. 軽度うつ・適応障害
「疲れが取れない」と同時に「気分が落ち込む」「やる気が出ない」といった心の症状が出てきたら、心の病気の可能性があります。責任感が強い人ほど“疲労感”として現れるケースがあるので注意が必要です。
■セルフチェックのポイント
・最近やる気が出ず、仕事や家事が手につかない
・朝が特につらく、布団から出られない
・食欲が急に増えた/減った
・人と話すのがつらい
5. 糖尿病(初期)
血糖値の乱れにより、だるさや口渇、頻尿などの症状が出ます。進行がゆるやかに進行するため、見逃されやすいのが特徴です。健康診断では、血糖値やHbA1cを確認します。
■セルフチェックのポイント
・甘いものを食べると異常に眠くなる
・喉がよく渇く
・夜中に何度もトイレに行く
「年齢のせい」「忙しいだけ」で見逃してはいけない、病気早期発見のチャンス
自覚症状があっても、検査結果に異常がなければ「問題なし」とされることも少なくありません。疲労が2週間以上続く場合は、「気のせい」と放置せず、医療機関に相談することが予防医療の第一歩。
特に次のような症状が2週間以上続く場合は、受診を検討してください。数値だけではなく、“自分の感覚”を大切にすることが重要です。
・朝起きても疲れが抜けない
・原因不明のだるさや眠気が続く
・気分の落ち込みや集中力の低下がある
・生活習慣を改善してもよくならない
特に30~40代は無理がきく年代のため、責任あるポジションにありながら、健康に無頓着な人が少なくありません。「疲れて当然」と考え、不調に慣れて無自覚になってしまいます。
「休んでも回復しない」「最近すぐに疲れる」といった変化は、体が静かに発するSOSの可能性があります。「疲れて当然」という思い込みは、病気の発見を遅らせてしまうこともあるため、注意が必要です。
「疲れ=病気かも」と思えるかは重要! 「戦略的予防」という考え方
疲労は病気の“結果”ではなく“兆候”である場合もあります。特に、「原因不明の不調」や「曖昧な違和感」こそが、先手を打つべきサインです。予兆の段階で気付き、適切に対処することは、「戦略的予防」と考えましょう。
戦略的予防とは、定期的な検査を受けるだけでなく、日々の体調変化を戦略的に把握し、リスクを先読みして対応することです。自分自身の体をマネジメントすることは、非常に重要です。
病気を治すのではなく、“病気にならない体”をつくる。そのためには、はっきりとした自覚のない段階から、小さな体の変化を見逃さない観察力が必要です。
「疲れは年齢や多忙のせい」と片付けず、体が教えてくれているメッセージとして向き合うことが、健康寿命を伸ばし、将来の医療コストやパフォーマンス低下を大きく減らすことに繋がります。
東洋医学には未病という言葉があります。 病気になる前に治療できるのは東洋医学、鍼灸治療です。