健診で「血糖値が高い」といわれたらどうすればいい? 正しい血糖値の改善方法を糖尿病専門医が解説
検診の結果が…という患者さんとの会話で見つけた記事です。
健診で「血糖値が高い」といわれたらどうすればいい? 正しい血糖値の改善方法を糖尿病専門医が解説
健診で「血糖値が高い」といわれたらどうすればいい? 正しい血糖値の改善方法を糖尿病専門医が解説
生活習慣病をはじめ、多くのの早期発見に役立つ「健康診断」。さまざまな項目の数値から自身の健康を省みることができますが、実際に数値が高かったらどうすればいいのかご存じでしょうか?
結果が悪くてもそのまま放置している、という方もなかにはいるかもしれません。今回は、「血糖値」にテーマを絞り、数値が悪かったらどうすればいいのか、日本糖尿病学会専門医の田中先生に解説していただきました。
血糖値が高かったらまずは受診を
編集部:
健診で「糖尿病の疑いがあります」と言われました……。まずは何をすればいいのでしょうか?
先生:
まずは焦らずに、健診の結果をしっかり見直してみましょう。「空腹時血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の数値を確認することが大切です。
空腹時血糖値が126mg/dL以上、あるいはHbA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病の可能性が高く、できるだけ早めに医療機関へ行くようにしてください。
編集部:
医療機関へ行くとしたら、何科を受診すればいいのでしょうか?
先生:
基本的には「内科」を標榜しているクリニックで構いません。なかでも、「糖尿病専門医がいる内科」や、「糖尿病内科」「内分泌内科」「内分泌代謝内科」などを掲げている医療機関が理想ですね。
編集部:
糖尿病に詳しい医師を探すにはどうすればいいのでしょうか?
先生:
糖尿病専門医の情報は日本糖尿病学会のホームページから検索できますので、活用してみてください。近くに大きな病院がある場合でも、紹介状が必要なことがほとんどなので、まずは近隣のクリニックへ相談に行く方がスムーズです。
糖尿病は定期的な通院が必要になることが多いので、なるべく通いやすい場所で、信頼できる医師を見つけておくと安心です。
自分でできる血糖値の改善方法とは
編集部:
受診するまでに、何かやることはあるでしょうか?
先生:
ぜひ、ご自身の生活習慣を見直してみてください。糖尿病のタイプや合併症の有無によって細かい内容は変わりますが、次の5点は多くの方に当てはまる基本です。
1. 1日3食を規則正しく食べる、野菜を摂取する
2. 間食や砂糖入り飲料、お酒を毎日摂っている場合は、減らしてみる
3. 標準体重を意識する
4. 定期的な運動習慣をつける
5. 禁煙する
編集部:
食事で気をつけることについて、詳しく教えてください。
先生:
たとえば、「夜遅くにまとめて食べる」「ジュースやお菓子を日常的に摂っている」といった習慣があるなら、少しずつ改善してみましょう。
なかには「血糖が高いなら主食を抜いてしまおう」といった極端な制限をする方がいますが、これはかえって逆効果になる場合があります。完璧を目指さず、“少しずつ改善”を続ける意識が血糖値の安定につながります。
編集部:
運動習慣や禁煙についてはいかがでしょうか?
先生:
運動は、週に数回のウォーキングをおこなうだけでも十分に効果があります。また、あまり知られていませんが、喫煙は糖尿病発症のリスクを高めますので、もし吸っている方は禁煙を検討してみてください。
糖尿病になったら一生治療を続けなくてはいけないのか
編集部:
糖尿病といえば、合併症が怖いイメージがあります。
先生:
そうですね。糖尿病を放置すると、神経障害(手足のしびれ)や網膜症(目の合併症)、腎症(じん臓の合併症)などの合併症を起こすリスクが高まります。
いずれも初期は自覚症状がないので、血糖が高いと言われたら、内科と並行して眼科を受診し「眼底検査」を受けるのがおすすめです。
最近は、健診機関で眼底検査をおこなっているところが増えています。早期に発見し、予防的に対処していくことが合併症の発症を防ぐカギになります。
編集部:
受診すると、すぐに薬が必要になるのでしょうか?
先生:
糖尿病の種類や血糖値の高さ、合併症の状況によって異なります。必ずしも薬が必要とは限らず、生活習慣が原因と考えられる場合は、まずは食事療法と運動療法で改善を目指す場合が多いですね。
編集部:
すぐに薬は必要ないのですね。
先生:
ただし、血糖が比較的高い場合や合併症の状況、糖尿病の種類によっては、初期の段階から薬や注射を使ったほうが、後々の治療成績が良いケースも多くあります。
最近は肥満症の改善や、臓器保護の作用が期待できる新薬も登場しており、「早めの治療をおこない、最終的に薬がいらなくても安定した状態の寛解を目指す」という治療方針も増えています。
また、糖尿病の種類や、検査結果によっては、飲み薬よりもインスリン注射のほうが適していることもあります。大事なことは、「薬を使う=重症」という訳ではない、ということです。
編集部:
糖尿病と診断されたら一生お付き合いが必要という印象がありますが……。
先生:
確かに、糖尿病は長期的な管理が必要になる病気です。だからこそ、生活の質を落とさないように、自分の生活に合わせた治療や、将来の合併症の予防が必要なのです。
一緒に、自分に合ったやり方を見つけられれば、糖尿病とうまく付き合うことは決して難しくありません。
編集部:
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
先生:
健診で糖尿病といわれるとショックを受けるかもしれませんが、まずは自身の状態をしっかり把握するところから始めましょう。生活習慣の見直しが最初のステップですが、無理なく続けられる方法を探すことがポイントです。
薬が必要かどうかは個人差があり、医療機関で相談をするようにしましょう。一度に完璧を目指さなくても大丈夫です。
「少しずつ挑戦して、改善点を見つけたら続ける」。それを積み重ねるうちに、血糖値が安定し、体も気持ちも楽になります。「自分の体と向き合う良いきっかけ」として、ぜひ前向きに取り組んでください。
編集部まとめ
健康診断で血糖値を指摘されたら、まずは病院を受診するのが大切とのことでした。また、受診するだけでなく、ご自身で食生活を見直したり運動を始めたりすることも必要だということがわかりました。
医師だけでもご自身だけでもダメで、医師とご自身の二人三脚となって、糖尿病と付き合っていくことが必要になります。みなさんも健康診断の結果を見直し、ご自身の健康を省みてみましょう。
健診は大事です 怖がる人が多いですが病気があれば早めに見つけて早めに対応出来ます 何もなければ問題なしです